2024年度も、色々な方々の協力を頂き、ガイドヘルパー養成研修を実施できました。
本当に、ありがとうございます。
ガイドヘルパーがいなくて障害のある人が外出を諦める現状を変えたい!
ガイドヘルパーがいなくて障害のある人が外出を諦める現状を変えたい!
そんな思いで、わたしたちはガイドヘルパー養成研修を実施してきています。
ガイドヘルパーへのニーズは年々増える一方、移動支援の事業者の撤退・事業縮小が相次いでいます。
そんな現状を「だまって見ている」なんて、いいわけがない。
養成研修を実施するための予算根拠も、マンパワーも、決して充分な訳ではないのですが「必要なことをやる」精神で毎年毎年、駆け抜けてきています。
講師のみなさんのご尽力、クラウドファンディングでの様々な人達からの資金協力、SNSなどで広報に協力をしてくれたみなさん。
そんな多くの人たちに支えられ、2024年度も駆け抜けました。
以下に、その報告を記します。
知的障者害(児)移動支援養成研修(通称:ガイドヘルパー養成研修)を実施しました。
研修の正式名称(ガイドヘルパー養成研修と連呼してきていますが、正式名称はコチラになります)
東京都知的障害者移動支援従業者養成研修
研修目的
- 障害のある人の外出をアシストするガイドヘルパー養成研修を通し、不足しているガイドヘルパーを増やすこと。
- それと共に、障害のある人と関わりがなかった人たちに、障害のある人とおかれている環境にある課題(障壁)について学ぶ機会を提供していくこと。
- そして、社会全体に障害の社会モデルに基づく「障害」理解と差別解消のための取り組みをひろげていく。
講師(五十音順)
- 小幡寛
- 合同会社起差点 | 移動サービスきっさてん 管理者
- 「知的障害者の疾病 障害の理解 」講師
- 櫻原雅人
- 居宅介護事業所はちくりうす 管理者
- 障害者(児)の心理」「ガイドヘルパーの制度と業務」講師
- 定岡ありさ
- 支援事業 風:fuu(風雷社中) 常勤スタッフ(ガイドヘルパー)
- 移動の支援に係る技術」講師
- 志子田悦郎
- 社会福祉士
- 障害者(児)福祉の制度とサービス」講師
- 竹嶋聡
- 介護福祉士
- 「知的障害者の疾病 障害の理解」講師
- 田島誠一
- (元)大学招聘教授
- 「ホームヘルパーの職業倫理」講師
- 庭野拓人
- 支援事業 風:fuu(風雷社中)管理者
- 「ホームヘルプサービス概論」「移動支援の基礎知識」「移動の支援に係る技術」講師
- 平井佑典
- 居宅介護事業所トイトイサポート 管理者
- 障害者(児)福祉の制度とサービス」講師
- 山田悠平
- 精神障害当事者会ポルケ代表
- 「移動の支援に係る技術」ゲストスピーカー
研修概要
第1回
- 研修期間
- 2024年10月25日~2024年11月22日(全5日間)
- 研修場所
- 大田区立消費者センター講座室(東京都大田区蒲田5−13−26−101)
- 六郷集会室(東京都大田区仲六郷2−44−11)
- カムカム蒲田(東京都大田区新蒲田1−18−16)
- 修了者
- 5人
第2回
- 研修期間
- 2025年1月25日~2025年2月15日(全4日間)
- 研修場所
- 徳持会館(東京都大田区池上7-14−6)
- 修了者
- 12人
広報
- SNSの投稿
- 公共施設にチラシを設置
- 新聞にチラシを折り込み
- 風雷社中の利用者・家族・ヘルパーのみなさんの有志で知人・友人への宣伝
- 東京都福祉局HPに掲載
主催
NPO法人風雷社中
後援
大田区
(福)大田区社会福祉協議会
協賛
大田区消費者団体「大田ネットワーク」(第1回養成研修のみ)
研修で使用した教材
『知的障害者本人中心のガイドヘルパーマニュアル』(NPO法人コミュニティーサポート研究所)
修了者アンケート(第1回・第2回のアンケートを合算)
研修に参加した動機を教えてください(複数回答可)
研修を知ったきっかけを教えてください(複数回答)
ガイドヘルパーのやりがいは何だと思いましたか?(複数回答可)
ガイドヘルプを行う上での問題点、不安点は何だと思いましたか(複数回答可)
研修を受講して一番印象に残ったこと(抜粋)
- この業界の特徴はお国の事情や歴史的背景からの要素が大きいので仕方がないが、そんな中でも草の根的に粛々と頑張っている集合体があるという事。
- "講義をしてくださる方どの方も障害を持った人たちを特別に何かしてあげようということでなく当たり前にありのままに受け入れていると感じられました。私自身、何かしてあげたいとか手伝いたいみたいなどこか上から感じがあって反省でした。一緒に考えて一緒に社会を変える手伝いができればと思いました。"
- ヘルパーも利用者さんとの外出を楽しんでも良いということ
- 利用者側とヘルパー側に分かれてロールプレイをしたことが、実際の支援をイメージできて印象に残りました。
- 講師の方がそれぞれ、個性的で熱血な方が多く充実していた。発達障害や精神障害を持つ方がいて、それが良かった。特に、ポルケの山田さんの精神障害者の気持ち等の講義が、今ボランティアで精神障害の人と関わる事がアリ、知的障害の方への知識や経験はありましたが、対応等に戸惑う事多く、参考になりました。
- 講師が素晴らしい
- ガイドヘルパーの仕事は、利用者さん本人が主体性を回復するアプローチのサポートであるという点が、最大の発見でした。自分で切符を買う、どこへ行くかを決める、何を食べるかを決める、コンビニで買い物をする、その一つひとつが主体性を回復するアプローチだと。さらには、ホームヘルパーは家族のためではなく本人のためにあること、その先に一人暮らしの選択もできるようにという一連の流れが、主体性の回復であって、一人の人間としての尊厳の回復であるのだと学びました。
- 高齢者介護も障害者支援も屋内支援がほとんどの中、ガイドヘルパーは屋外の外出支援ということで、利用者さんの豊かな社会的文化生活を保障するとても大切な支援であると同時に、外部の多くの人たちの認識を変え深める社会との橋渡し的な支援ということが印象的でした。
研修の評価
現役大学生から定年退職後のセカンドキャリアを考えている方まで、幅広い年齢の方々が受講してくれました。グループワークでは、さまざまな立場の方が意見を出し合うことにより、更に考えが深まっていく様子が見られました。
修了された方の中で、風雷社中や他の事業所でガイドヘルパーとして新しく働き始めた方がいます。
それだけでなく、知的障害のある人のグループホームや通所施設等で元々働いている方も多く受講しています。資格が必須ではない職種であっても知的障害当事者と関わる上で、勉強したいという方が多くいることを実感しています。ガイドヘルパー研修は金銭的・時間的なハードルが低い研修でありながら、初心者向けの内容なので、そういった需要も感じます。
また、以前風雷社中の研修を修了された方の紹介など、内容を知ってくれている方が「風雷社中のガイドヘルパー養成研修」を周囲に勧めてくれているという状況があります。期待に応えられるよう、より良い研修を作り上げていきます。
2025年度の研修にむけて
2024年度に研修の参加に都合がつかなかった方から、既に次年度の開催について問い合わせをもらっています。
今年度も、以前から問い合わせをもらっていた方が修了することができて、継続的に研修を実施する意義を感じています。
また、毎年4月は生活が変わる時期なので、進学で新しく移動支援が必要になる方や、ヘルパーの状況が変わって今まで通り支援が受けられなくなる方など、事業所への新規利用の問い合わせが特に増えます。
現在利用されている方の支援提供でヘルパーが出払っていることが多く、お断りのお返事をせざるを得ないため心苦しいです。
現状を少しずつでも改善していくため、2025年度もガイドヘルパー養成研修を実施できるように、計画をしています。
そして、修了された方が更にガイドヘルパーに関心を持ち、仕事や生活の中で活かしてもらえるような、より良い研修にするために試行錯誤を続けていきます。