送迎支援の朝は早い

風雷社中では平日朝(9時前くらい)の知的障害児者の通所・通学支援を毎日10件以上対応してます。

施設や学校のバスポイント、はたまた施設まで基本的には直行であるのですが、中にはご家族の都合で少し早めに出発し、少し時間を使いながら向かう支援もあります。

中には朝7時には出発する支援もあり「ヘルパーさんは何時に起きるのか?」

毎朝5:50に目覚ましをかけて、10分毎のスヌーズ機能と戦い続けることもあります。

「おもちゃ」とは?

そんな中、支援学校・支援級の学生さんの支援もあります。

とある小学生の支援では出発時にどうしてもおもちゃを持っていきたい。

ボールのような物から、人形、なぜか大きいタンブラー?

なんとか手から離してもらい、諦めてもらうこともあります。


学校からの指導もあるようですが、学校到着したらしまってもらったりすれば良いのでは。

そもそも人形持って行っている人もいるのを他の方で知っているんだが。ブツブツ。。。

とある日にいつも通り自宅から出発する際、

「スーパーの肉・魚などを入れるポリ袋内に丸めたティッシュを詰めたもの」

を持って行こうしていたのでした。

令和の一休禅師と足利義満

一見、ただの「ゴミ」である。


しかし、「むむ、これは確かにおもちゃではないなぁ」と思いました。



なるほど!


「『おもちゃを持っていってはいけない』のならば、おもちゃではない”なにか”を持っていくのは良いのですよね」


そういうことかー!!!!!と捉えた上、一本取られました。


僕自身、昭和生まれなのですが「一休さん」にある種化かされた、室町幕府第3代征夷大将軍、足利義満の気分に至りました。室町時代の頓知が憑依。


ええ、虎のアレです。「屏風の虎」のヤツです。


これにはさすがに一杯食わされたというか「もう、コレは持っていっても良いんじゃね?」

ということで、何も言わず出発するのでありました。

これは「おもちゃ」だった

スクールバス到着時間まで少し時間もあるので、じゃあその”おもちゃでないなにか”で公園で遊ぼう

ということで、近隣の公園に向かいました。


何をどうやって遊ぶかと思ったら、単純に投げて遊んでいたり、蹴ったりしていたのですが、このなにかを「鉄棒や遊具のポールの上を超えさせたい」

なるほど、これがこのなにかを使った遊びということか。

競技のように何度も投げては失敗しては、ようやくクリア。

僕も「おお、やったー!」と両手を挙げて、先程の足利義満の肖像画のような仏頂面から満面の笑みで喜んでいたのでした。

子どもたちの想像力

その後「そのおもちゃではないなにか」は学校でどのような対処されたのか分からないのですが、ただただ「おもちゃを持ってきたらダメー」という教育的な決まりでなく、こういった子どもの想像性というのはとても大切にすべきであるでしょう。


これを結局「おもちゃ」として、持っていかないようにしていたら、このような機会にも立ち会えなく、彼の想像性も奪っていたのであろうことです。

Z世代、α世代などなにかとデジタル世代と思われることもありますが、物質・物体をいかに遊びに使うか?

僕もかつて「湿布」を使った遊びをしていたことがあるので、この思いは大切にしていきたい。

スクールバスを待っている最中、春の風がふわり吹いておりました。



執筆:庭野拓人

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