行動障害?こだわり?こんなんケース?って言われるが

「強度行動障害が」

「強いこだわりが」

「困難ケースだ」

などなど、重度知的障害者の支援時には何かと言われることだったり、非常に警戒されたりすることがある。

かれこれ13年も付き合いのある知的障害者のある男性と、とある支援時のこと。

言ってしまえば、時にはものすごいハードな他害があり、色んなヘルパーも私自身もボコボコにやられたこともある方ではある。

コンビニでの買い物で

そんな彼はおやつを物色して買うことが楽しみ。

普段おやつを購入するファミリーマートで彼は自分から言い出すことはないが、比較的「新商品」のパッケージを見て買うことが多い。
*本人も「しんしょーひん」と言う

その日真っ先に買ったその「しんしょーひん」だが、いざ開封してみたら「のど飴」だった。。。

彼も「飴」と言いながら少々戸惑った様子。

というも、この時に分かったことでありますが、普段真っ先に「グミ」を購入するのですが、おそらくパッケージ的にグミと勘違いして、こののど飴を買ってしまったようでした(確かにパッケージはブルーベリーのグミであるような感じであった)

他のおやつを食べつつでしたが、やはりどうもしっくりこない様子。

色々食べ終え、持ち帰るおやつもしまった後に、普段は行わないが再度陳列棚を物色。
手に取ったのは「ポイフル」であった。

この商品、以前も買ったことあったのですが、何しろ「中身がグミだと分かる」ような透明な箱の部分がある。

「絶対にグミを買う」といういわば”こだわり”があるところ、中身も視認することができる商品を買ったのでした。

既にファミリーマートを退店した後、この後何が待っているかというと、この「ポイフル」の食べにくさ。

チップスターの蓋をつかって

彼は「色ごとにグミを食べる」という特性もあるため、手持ちだと中身を皿などに広げて色を選んで食べられないのでした。
*普段はテーブルの上に全て広げて、色毎選んで順々に食べていく

普段ファミリーマートの後に寄る大田区障害者サポートセンター内(ここではトイレに寄る)で、立ちながら手の平に乗せて選んで食べていましたが、箱の中には「今食べている色がまだ残っているかもしれない」という不安が過る。

ヘルパーとしてはさてさて、これはどうしようか。。。と考える。

そんな中、彼はおもむろに持ち帰るはずだった「チップスター(ポテトチップス)」を手に取ろうとする。

ポテトチップスは既にコンビニのイートインで食べていたのですが、それでもまだここで食べる?
と一瞬考えたのですが、何をするのか動向を追ったところ。。。

なんと「自らチップスターのフタだけ取って皿代わりにポイフルを入れて食べ始めた」のであった。

これには更に深い意味があり、チップスターのフタには縁がしっかりあるため、立ちながら食べるにしろ、こぼれないような仕様になっている。
*こぼれて床に落ちることも「失敗」ではある

行動の顛末を追っていたヘルパーもこれには「マジですごいっすね。。。」と感嘆の言葉を言ったのであった。

結果的にミッションを達成できた彼はご満悦で帰宅していったのでした。

なにが起きていたのか?

色々と何が良かったのかを羅列していきますと

◯彼自身イレギュラーや失敗を挽回するアイデアがあった

◯彼自身「間違えたり」「失敗」することへの挽回する行動を自主的に取ることができた


◯普段から彼の行動を制約するような対応をとっていなかった

◯ヘルパーとの関係性の中、「この人ならなんとかしてくれる」と思ってくれた(かもしれない)

基本的なスタンスとしてはミッションを達成できるために尽力するのである。

「今日はもうおやつ買ったから買わないです」
「間違えたんだからしょうがいないでしょ!」
「(今ここで)ポテトチップスは食べちゃダメでしょ」

こんな対応を取っていたら、彼の意図と全くそぐわないぶつかり方をして、他害もあれば、その日の出来事としては非常に困難な状況に陥っていたかもしれない。

正直「優しいですね」「なんでもかんでも許してそんな甘いと制御できなくなりますよ」

と実際に言われることもある。そもそも制御するつもりなんてないのですがね。

行動障害と言われることに関して本質的に

「何がそうさせるのであるか」を見極めたり、行動の顛末を見守ること、何しろ本人の行動として「何をしたいのか」をしっかり知ること。

ヘルパー側としても「なにか失敗したり、間違ったりしてもどうにかしましょうぞ!」

という意気もあったことからかもしれませんが、何もなかったかのように穏やかな様子でミッションコンプリートしました。

そう考えると「行動障害」と言われることに関して、我々が感知できていないだけのことであるかもしれない。

何しろ13年試行錯誤もある中、長い年月培ってきたパートナーシップとして。
彼も私のことを信頼してくれていた?と考えると非常に嬉しいことでもある。

それにしてもチップスターのフタを皿代わりにするというのは私も参考にしたいもの。

どこかの会合のバーベキューにて取皿が無かったら、是非「チップスターのフタ」に焼肉のタレでも入れて、自慢気にバーベキュー食べたいと思ったのであった。

執筆:庭野拓人

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