「知的障害のある人の自立生活について考える会」シンポジウムのご紹介
「動く」と「動かす」から、自立生活の次の一手へ
風雷社中では、これまで一貫して
「障害のある人が、地域で当たり前に暮らすこと」を活動の軸に据えてきました。
その実践と深く共鳴する取り組みとして、今回は
知的障害のある人の自立生活について考える会
が主催するシンポジウムをご紹介します。
本シンポジウムは、知的障害のある人の自立生活をめぐる実践・課題・制度の限界について、長年にわたり議論を重ねてきた同会の継続的な取り組みの一環として開催されます。
「自立生活」は理想論ではなく、現実の選択肢か
知的障害のある人の暮らしは、いまだに
- 施設・グループホームか
- 家族との同居か
という二択で語られることが少なくありません。
そして多くの場合、
「どんな暮らしが知的障害のある人に“合っている”のか」
という視座から語られがちです。
しかし本来、
「どこで、誰と、どう暮らすか」は個人の選択の問題であり、
障害の有無によって制限されるべきものではないはずです。
にもかかわらず、
「障害特性に合った暮らし」とされながら、施設やグループホームでの集団生活が前提とされ、
自立生活が選択肢として提示されることは、いまだ稀です。
本シンポジウムでは、
- 実際に地域で自立生活を送っている当事者の経験
- それを支える支援者・実践者の試行錯誤
- 制度上の壁や、支援が抱える構造的課題
が共有されます。
重要なことは「うまくいった成功事例」を並べるのではなく、
なぜ難しさが生じるのか、どこに社会的なボトルネックがあるのかが、丁寧に言語化されることです。
シンポジウム全体構成
「動く」×「動かす」という二つのアプローチ
本シンポジウムは、大きく三部構成で進められます。
第1部|動く:知的障害のある人の自立生活を制度で支える
第1部では、
「制度を使って自立生活を支えるとはどういうことか」という、極めて実務的なテーマが扱われます。
ここで、風雷社中からも事例報告を行います。
「自立生活準備中の課題」
発表:庭野拓人(NPO法人風雷社中)
自立生活は、「始めてから」困難が生じるのではなく、
準備段階ですでに多くの制度的・実務的な壁が存在します。
- 支援体制をどう組み立てるのか
- 制度のどこまでが柔軟に使え、どこからが壁になるのか
- 本人の意思決定を、支援する側は、どう捉え、どう考えていくのか?
風雷社中の現場で直面してきたケースをもとに、
制度の限界と、それでも制度を使って前に進もうとする実践が共有されます。
あわせて、
「奥原さえ子さんの支援から学んだこと」
発表:太田吾郎(社会福祉法人ぽぽんがぽん)
では、長期的な支援実践から見えてきた視点が提示されます。
第2部|動かす:制度にとらわれず、豊かな暮らしを広げる
第2部では、制度の枠内・枠外を問わず、
暮らしの側から社会を動かしていく実践が紹介されます。
「地域とのつながり/カフェ/シェアハウスの試み」
発表:櫻原雅人(NPO法人はちくりうす)
「富士見台カフェの運営と保養所構想」
発表:
市川彩、児玉雄大(自立生活支援ヒビノクラシ舎)
制度が整うのを待つのではなく、
日常の実践から「暮らしの可能性」を広げていく試みが共有されます。
第3部|クロストーク
「動く」×「動かす」から次の一手へ
第3部では、第1部・第2部を受けて、
家族視点からの感想・質問を軸にクロストークが行われます。
- コーディネーター:岡部耕典(早稲田大学)
- 指定討論者:
- 下尾直子(洗足こども短期大学)
- 羽石英里(昭和音楽大学)
実践・制度・家族・研究という異なる立場が交差することで、
「では、次に何を動かすのか」が立体的に掘り下げられます。
風雷社中の実践とも重なる問題意識
風雷社中が大田区で取り組んできた
自立生活支援、居宅介護、移動支援の現場でも、
同じ問いに繰り返し直面してきました。
- 制度はあるのに、担い手がいない
- 「安全」を理由に、選択肢が狭められていく
- 支援が本人の生活を支える一方で、無自覚に生活を管理してしまう危うさ
これらは、個別事業者の努力だけでは解決できない、社会構造の問題です。
本シンポジウムは、そうした構造を
「個人の努力不足」に還元せず、
社会全体の課題として捉え直す視点を提供してくれます。
こんな方におすすめです
- 知的障害のある人の地域生活・自立生活に関心のある方
- 障害福祉の現場で支援に携わっている方
- 行政・制度設計に関わる立場の方
- 「支援とは何か」「自立とは何か」を改めて考えたい方
実践者に限らず、
「知ること」から関わりたい方にも開かれたシンポジウムです。
開催情報・申込について
開催形式・参加方法などの詳細は、以下の Peatix ページをご確認ください。
▶ https://peatix.com/user/27705008
おわりに
自立生活は、特別な人のための特別な取り組みではありません。
それは、誰もが自分の暮らしを選び取れる社会かどうかを測る試金石でもあります。
風雷社中としても、
こうした議論と実践の積み重ねに学びながら、
現場から問い続けていきたいと考えています。

