いま、風雷社中が大切にしている実践の考え方
風雷社中は、知的障害のある人の「移動」と「暮らし」を軸に、
制度を活用しながら地域での生活を支える実践型のNPO法人です。
障害のある人が地域で当たり前に暮らすためには、
福祉制度が用意されているだけでは十分ではありません。
制度と現実のあいだには、運用や担い手、地域の受け止め方といった点で、
さまざまなギャップが存在しています。
とくに、外出や通院、余暇活動などを支える移動支援や、
施設ではなく地域で暮らすための生活支援は、
制度があっても十分に機能していない場面が多く見られます。
その結果、障害のある人が本来選択できるはずの生活の幅が、
事実上制限されてしまう状況が生まれています。
風雷社中では、こうした状況を前提に、
既存の制度を最大限活用しながら、
地域での暮らしを実際に成立させるための実践を重ねています。
理念を掲げるだけでなく、
「いま、この地域で何が足りていないのか」を具体的に捉え、
現場で機能する形に落とし込むことを重視しています。
私たちの活動は、特別な取り組みを生み出すことではなく、
障害のある人が地域の一員として暮らし続けられる状態を、
一つひとつ現実のものにしていくことにあります。
そのために、移動や生活を支える実践と、
それを担う人材づくりを並行して行っています。
以下では、現在、風雷社中が重点的に取り組んでいる実践について紹介します。
風雷社中が重点的に取り組んでいること
風雷社中では、障害のある人が地域で暮らすことを現実のものにするため、
以下の実践に重点的に取り組んでいます。
1.移動支援事業によるガイドヘルプ
風雷社中は、知的障害のある人を中心に、
移動支援事業を活用したガイドヘルプに取り組んでいます。
外出することは、通院や買い物といった生活の維持にとどまらず、
人と出会い、街と関わり、社会との接点を持ち続けるための基盤でもあります。
しかし現実には、担い手不足などの理由から、
制度があっても十分に利用できない状況が各地で生じています。
私たちは、ガイドヘルプを単なる「付き添い」ではなく、
障害のある人が地域で生活するために必要な
社会的なアシスト(生活を成立させるための支え)であると捉えています。
移動の機会を確保することは、
生活の選択肢そのものを回復していく実践だと考えています。
ガイドヘルプを、私たちはどのような実践だと考えているのか。
その考え方を、もう少し詳しくまとめています。
2.重度訪問介護等による自立生活(一人暮らし)のアシスト
風雷社中では、重度の知的障害のある人が、
公的なケアを活用しながら地域で暮らす
「ケア付き一人暮らし」のアシストにも取り組んでいます。
重度訪問介護制度などを活用し、
家族や施設に依存せず、地域で暮らすという選択肢を、
現実のものとして支えています。
これは、知的障害のある人が
特定の生活様式(施設入所など)だけを
事実上選ばされる社会構造に対する、
具体的な実践でもあります。
一人ひとりの暮らしを地域の中に位置づけ直すことで、
生活の選択肢を広げていくことを目指しています。
3.担い手づくりと情報発信
これらの実践と並行して、
風雷社中ではガイドヘルパーの養成と、
多様な担い手づくりに力を入れています。
現在、ガイドヘルプの担い手は
シニア世代が中心となっている一方で、
担い手を特定の世代や属性に固定しないことが、
今後の継続性にとって重要だと考えています。
そのため、外国ルーツの若者や、
社会課題に関心を持つ人たちなど、
これまで福祉分野と接点の少なかった人たちが
関われるよう、養成研修や情報発信の工夫を行っています。
ガイドヘルプの現場が、
異なる世代や文化的背景を持つ人たちの
出会いの場となること。
それ自体もまた、
ソーシャルインクルージョンを進める一つの形だと考えています。
